冷酷姫に溺れて。

私、中途半端なことばっかりしている。


ダメだ、入井くんと関わっちゃ。

ダメなのに…。



どうしてこんなにも胸が痛くなるの?



ピコン。

『明日、俺んちに来て』

入井くん…。

『わかった』

少しぐらい話してもいいよね。

入井くんの家だし、先輩にバレないもんね。





翌朝、身体がくらくらした。

熱でもあるのかな?

体温をはかるも、平熱。

大丈夫だよね…。

私は入井くんの家に行った。

「あ、理紗ちゃん。お兄ちゃんの部屋はこっちだよ」

咲奈ちゃんは笑顔で私を案内してくれた。

こんな笑顔向けられる資格なんてないのに。

「お兄ちゃんー!理紗ちゃん来たよ」

「ああ…」

咲奈ちゃんが行ってしまうと気まずい雰囲気が漂った。

「霜月さん、なんで無視してくるの?」

先輩の言うことを聞かないと入井くんが危険な目に遭っちゃう。

そう言いたいのに声が出せなかった。

「俺、すごい傷ついてるんだけど」

入井くんが怒ってる…。
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