冷酷姫に溺れて。

「そんなことなら帰っていい?」

「また会長に脅されてるんでしょ?なんで俺に相談してこないの!?俺ってそんな頼りない?」

そうじゃない…。

そうじゃないの!

「…もう私に関わらない方がいいわ」

「なんでだよっ。俺のことがそんなに嫌いか?まだ会長に気があるのか?」

あるわけない。

私が好きなのは入井くんなんだもん。

「入井くんには吾田さんがいるんでしょ。私に告白してきたのだって、本当は嘘で……」

ドンッ。

入井くんは私の横の壁に手を押し付けた。

「俺が嘘で告白するような奴に見えるんだ」

傷ついているような、泣きそうな顔をした。

「…帰るね」

私は入井くんの家を飛び出した。
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