冷酷姫に溺れて。
誤解
なんで俺が真優と付き合ってることになってるんだよ。
俺は誰とも付き合ったことないし。
ましてや真優を恋愛的な意味で好きになったことはない。
てか、どこからそんなデマが流れたんだよ。
考えても仕方ない、誤解は誤解だし。
だから俺は真優と話すことにした。
「どうしたの?」
「お前さ、俺と付き合ってるって霜月さんに言ったんだろ?」
こいつ以外あり得ない。
真優が言わなかったら誰が言うんだ?
会長だって考えもあった。
だけど、信頼してるのは真優だ。信頼してるから聞きたい。
「は?何言ってんの?そうだよ、私が言ったの。でもね、全部千影のためだから」
真優はなんの躊躇いもなく言い放った。
「なんでだよっ!俺のためなんかじゃねぇよ。…はっきり言って迷惑だ」
真優は涙目になりながら震えた声で怒鳴ってきた。
「……千影は私が好きって言ったら振り向いてくれるの!?こうでもしないと霜月さんに近づくし、付き合えないじゃん!!」
真優は訳の分からないことを言っている。
「真優が俺のこと好き?冗談だろ」
「本気だよ。ずっと千影が好きなの。返事、考えといて」
は?
真優はそれだけ言うと、走って行ってしまった。