冷酷姫に溺れて。
「お前、ふざけるのもいい加減にしろよ」
「ふざけてないですよ。吾田さんも君と理紗が接近するのを嫌がってるんだ」
俺は真優を見た。
真優はまるでそうとでも言っているかのような眼差しをしていた。
「嘘だろ…」
「本当だよ。千影を守りたいからそうしたの。私の忠告を聞かないからよ」
そんなの忠告じゃなかった。
俺にとってはデマでしかなかった。
「酷すぎるぞ!」
「…千影にはこの気持ち分かって欲しかった」
そう言って、真優は会長のもとへ行った。
「吾田さんの協力のお陰で事がよい方向へ進んでいます。その調子です」
「…はい」
「真優っ、真優!!」
もう、真優は振り向かなかった。