冷酷姫に溺れて。


なんでだよっ。

なんで、あいつに裏切られなきゃいけないんだよ。

それに俺のこと好きって嘘だろ?

あり得ねぇよ。

こんなのどうかしてる。




俺は光に電話をかけた。

「…お前と話したい」

「んー、今どこ?」

「渡り廊下」

「りょっ、今いく」

光に話したい。

もう、俺だけひとりだけじゃ無理なんだ。

これ以上抱えきれない。





光が来ると、真優と会長のことを話した。

「そうか。やっぱり真優は千影の事が好きだったんだな」

え?

なんで驚かないんだ?

「逆に気づかなかったのかよ。お前鈍すぎるぞ」

そんなこと言われても分かんなかったもんは仕方ないだろ?

「でも千影は冷酷姫が好きなんだろ?」

「ああ」

俺は霜月さんが好きなんだよ。

誰になんと言われようと諦めない。

俺が初めて好きになった、大切な女の子だから。
< 116 / 132 >

この作品をシェア

pagetop