冷酷姫に溺れて。
思い立ったのはいいものの、霜月さんに気持ちを伝える前に会長をどうにかしないといけない。


「会長!」

「遅かったですね」

こいつ、俺の行動を見透かしてたのか。

「それにしても吾田さんは役立たずでしたね。これじゃあ、理紗と君の仲を裂けませんよ。残念、残念」

「俺は霜月さんに気持ちを伝える」

「そうですか。じゃあ吾田さんはどうなるんですかね?」

「お前の望みはなんだ」

「幸せになることですよ」

「俺たちで弄んで何が幸せだ。まずは自分を見つめ直せ」

「僕は説教が嫌いです」

「それに副会長と付き合ってるだろ?」

「…そうですね」


会長は一瞬苦しそうな顔をした。

こいつ、まさか……。


「お前、本当は副会長のこと、好きじゃないんだろ?」

< 119 / 132 >

この作品をシェア

pagetop