冷酷姫に溺れて。


副会長は三年の教室にいた。


「副会長、お話があります」

「あらー?あなたどちら様?」


副会長はちょっとイメージと違った。もっと怖そうだと思ったのに、明るくて気さくで綺麗な人だった。


「俺は二年の入井千影です」

「あの噂の吸血鬼くんね?私、会ってみたかったんだぁ。ねえ、血を吸ってみてよ。私ね、実は吸血に興味あるんだ」

副会長は服のボタンを外そうとした。

俺はその手を掴んで、言い放った。


「会長を解放してあげてください。会長をこれ以上苦しめないでください」

「ふふ、それは無理ね。だってあんなに分かりやすくて面白いオモチャないわよ?私の言うことは全部聞いてくれる最高の人。あの人で遊ぶだけで他の人も遊べるなんて本当に面白いわ。そうね、それならあなたが代わりに私の相手をしてくれてもいいのよ?」


副会長は俺の顎を弄ぶように触った。

俺は動じず、ただ副会長を見た。


「副会長、もう止めてください。副会長も幸せになって欲しいんです」

「私は幸せよ?男を手玉にとれて」

「顔が幸せそうじゃないです。お願いです。正直になってください」


副会長は舌打ちをした。

「あんたに何が分かるっていうの?私があいつを苦しめた?そんなわけないじゃん!私はあいつのことを愛してるのよ!」

そうか、会長と違って、副会長は会長のことが純粋に好きだったんだ。

だけど、愛情表現が行きすぎてたんだな。

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