冷酷姫に溺れて。
それですれ違ったのか。
「ねえ、私はあいつのこと好きなのよ…」
「それ、会長に言ってください。今ならまだ間に合います」
「間に合う?間に合うはずがないわ。だって、あいつは私のことが嫌いなんだから!!だから、いつもいつも浮気するの!」
俺は何も言えなかった。
会長は副会長の支配から逃れるために女子と付き合っていたなんて、とてもじゃないけど言えなかったから。
「私はちゃんと言ってるわ。あなたのことが好きだって」
「支配するように洗脳してるように見えますけど」
「ふざけたこと言わないで!私のあの人への気持ちは本物よ!それにこの気持ちを全く強要してないわ!ただ私は、あの人にちゃんと好きってことを言ってほしいだけなの!!それなのに、あの人は…」
この人、意外に恋愛下手なのか?
空回りすぎじゃないか?
会長は副会長のこと、恋的な意味で好きだったのか?
霜月さんへの気持ちは本物ぽかったけど、副会長のことはどう思ってるんだろう。