冷酷姫に溺れて。

どう言おうか悩んでいたが、今、俺が何を言っても焼け石に水という感じがしてならない。


「違うんだ」

困っていると、会長の声がして後ろからした。

振り返ると、会長と霜月さんがいた。


「また浮気の見せしめ?何が違うのよ!!」


副会長は感情的になって、会長の胸ぐらを掴みそうな勢いで怒鳴った。


「僕は君の本当の気持ちを知らなかった。君は僕のことを大切に思ってくれてるんだろう」

「そうよ!私はずっとあんたが好きなのよ」

「ごめんな。気づいてやれなくて」

「ほんと、大馬鹿者よ」



副会長は泣いて、会長に抱きついた。

会長は何も言わず、ただ副会長の背中を撫でた。

会長も泣いていたのか、何故か目元が赤い。

二人ともやっと思いを言えてすっきりしたのだろう。

なんだか俺の心も晴れたようだった。
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