冷酷姫に溺れて。

俺は霜月さんと教室を出た。



「霜月さん。会長と話せた?」

「うん」

「良かった」

「先輩の気持ちを知れてよかった。全部、入井くんのお陰だよ」

「俺は何もしてないよ」

「そんなことない。本当にありがとう」


霜月さんの柔らかな笑顔、久しぶりに見た。

俺の気持ちも伝えないといけないな。


「俺は真優と付き合ってない。あれは真優と会長の嘘なんだ」

「え……?」

「俺が好きなのは霜月さんだよ」

「嘘…」

「ほんとだよ」

「嬉しい…。私も好きなの。気付いたら、入井くんのこと、好きになったの」


霜月さんの瞳から涙が流れた。

とても綺麗で惚れ惚れしてしまうぐらいの美しい涙が。


「俺と付き合って下さい」

「はい」

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