冷酷姫に溺れて。
「雪だるまの熊って何?」
「熊なんだけど、原材料が雪なの!とっても可愛いんだよ!!」
つまりあれか。
雪で出来ている熊のマスコットね。
霜月さんらしからぬ、はしゃいでいる姿が可愛かった。
「うん、可愛い」
「雪ちゃんの話だよ?」
「雪ちゃんの話をする霜月さんが可愛い」
「なに言ってるの」
そう言ってプンスカと怒る霜月さんの表情はいつになく穏やかで、前までだったら考えられないくらい優しかった。
本当に霜月さんと付き合ってるんだな。
「ダブルデート楽しもうね」
「うん!」
俺は手を出した。
霜月さんはそれに応えるように手を取ってくれた。
ああ、幸せってこういうことなんだな。
俺はそう思いながら、再び霜月さんを見つめた。
するとそれに気づいてか、霜月さんが俺を見た。
「あんまり見ないでくれる?恥ずかしいから」
「ごめん。でも霜月さんと付き合えたのが自分でも信じられないくらい幸せなんだ」
「……入井くんってなんでそうも恥ずかしいことスラスラ言えるの?私だけ恥ずかしがって馬鹿みたいじゃん」