冷酷姫に溺れて。

真優は友達と一緒に受けるって言ってたしな。

俺は数学の授業を受けに行くことにした。

あ、あそこ空いてる。

数学は人気科目だから、人がたくさんいた。

ふと、隣に目をやると霜月さんが座っていることに気がついた。

こんなの、集中出来ない!

「何?」

霜月さんから話しかけてもらえた!!

俺があまりにも見ていたからだろうけどな。

「いや、あの、よろしくね!」

「は?」

やっぱりそうだよね。

分かってるけど、さすがに痛いかな。

「……前はありがとね」

ん??

聞き間違えか?

「ありがとうって言ってるでしょ!?」

どうやら幻聴ではなかったみたいだ。

「それぐらいは…別に…」

霜月さんはもうこっちを見てくれなかった。

でも、ちゃんとお礼を言ってくれた。

やっぱり優しい人なんだ!
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