冷酷姫に溺れて。


授業中。

俺は霜月さんが気になって仕方ない。

可愛いし、綺麗だし、なんと言うか……ずっと見てられる。

「入井さん、ここの答えを言ってください」

いきなり当てられて驚いた。

やべぇ、全く聞いてなかった!

しかも、この答え分かんねぇし。

どうしよう。

すると、霜月さんが立って答えを言ってくれた。

「…正解ですが、霜月さん。あなたには聞いていませんよ」

「分かっています。ですが、入井くんは体調が優れないようでしたので私が代わりに答えました」

「そうでしたか…。入井さん、体調は大丈夫ですか?」

「はい。大丈夫です」



「あの、さっきはありがとう」

「別に。あなた、全く聞いてなかったから」

分かってたんだ。

「それじゃあ」

霜月さんは行ってしまった。

でも、今日はいつもより優しかった。

そう思うのは俺だけだろうか。
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