冷酷姫に溺れて。
いつもの如く、霜月さんは一人でご飯を食べていた。

でも、今日は話しかけないでおこう。

周りの奴らがうるさいし。

今日、頼んだのは食堂名物のとんかつ定食。

特製ソースが濃厚で最高なんだよな。

「隣いい?」

真優もとんかつ定食を持ってきた。

「お前、何の授業受けたんだ?」

「私?私は生物だよ」

生物か。

「ところで冷酷姫に助けてもらったんだってね?」

またその話かよ。

「そうだけど」

「なんで私の忠告を無視するの?そこまで執着する理由なんてないじゃん」

俺にはあるんだよ。

霜月さんを笑わせたい。

あの笑顔は人を幸せにしてくれるからな。

ただそれだけで悪いかよ。

「好きなんじゃないでしょうね?」

「……好きだけど」

「え!?」

予想外の言葉に驚いたようだ。

「千影…冷酷姫が好きなんだ」

なんだよ。

いいじゃないか、別に。
< 20 / 132 >

この作品をシェア

pagetop