冷酷姫に溺れて。
「先輩、今日の放課後、空いてますか?」

「うん」

「デートしません?」

「いいよ」

聞き覚えのある声だった。

カップルっぽいけど、少しだけ見てもいいよな。

「理紗は今日も可愛いね」

俺は二度見した。

いちゃついていたのは霜月さんと生徒会長だったから。

「先輩っ、大好き!」

霜月さんは生徒会長の首に手を回し、キスをした。

俺は思わず、しゃがんだ。

霜月さんが会長にキス……。

会長といる霜月さんは『冷酷姫』ではない。

恋する乙女だった。

みんなと会長との態度が違いすぎる…。

こんな霜月さん、見たくなかった。

俺は足早に図書館を出ていった。
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