冷酷姫に溺れて。
入学した時から、変な噂を流されていた。

魔界からの内通者だの。

世界を破滅に導く女だの。

一体、誰がそんなくだらないことを言い始めたんだろう。

魔界人は今も昔も私たちのよき仲間なのに、独断と偏見で話すのはやめて欲しかった。


お陰さまで私はクラスで孤立した。

たった十人しかいない、このクラスで孤立するなんて一種の才能だと感じている。

唯一友達なのはデビルズクローの山崎愛(やまざきあい)ぐらいだ。

愛は魔王の娘で次期魔王らしい。

愛なら出来るだろうし、本人もそれを望んでいる。

私はそんな愛がすごく羨ましい。



私には愛以外の友達はいないし、人見知り過ぎて上手く人と話せない。

話しかけられてもどう答えればいいのか分からなくて無視してしまう。

直さなくちゃって思ってるのに、上手くいかない。

そして、いつしか『冷酷姫』と言われるようになってしまった。

みんなは私を『冷酷姫』として扱うため、話しかけて来なくなった。

なんだか、複雑な気分だ。

確かに楽だけど、誰かと話したいし。

このキャラを保つのも苦労するし。

一体、本当の私はどれか分からなってしまった。

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