冷酷姫に溺れて。

「霜月さん。元気がないみたいだけど、どうかした?」

「ううん。ちょっとお腹空いちゃって」

先輩が怖かったなんて言えない。

言ったらそれこそ、精神的に追い詰められる。

「そっか。ラーメンでも食べない?」

「うん」

ピコン。

私は恐る恐るスマホを見た。

『今日の放課後、生徒会室に来て。
大丈夫、副会長はいないよ?
僕と二人きりの時間、楽しもうね』

嫌だ。

来ちゃったよ……。

「霜月さん、どうかした?」

私は反射的にスマホを隠した。

「なんでもない。それより早く食べよっ」

本当は入井くんに言いたい。

でも、言ったらどうなるか分かんない。

一人でこんなの抱えるなんて無理だよ。

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