冷酷姫に溺れて。

母さんのスマホに電話をかけた。

「もしもし?今、スーパーなんだけど。それより学校じゃないの?」

「どうでもいいから早く帰ってきて。今すぐ!!」

もうなんで買い物なんてしてんだよっ!

早くしねぇと霜月さんが……。



母さんが帰ってくると、理由を説明した。

「咲奈が言ってた子でしょ?あんたの好きな子だったのね」

「んなこと、どうでもいいから早く父さんに血をあげてくれよ」

「そんなこと言われても玲音は気まぐれに血を吸うから」

なんだよそれ!

「じゃあ母さんが生徒会の家に案内してよ」

「仕方ないわね」

「…ダメだ」

父さんが吸血鬼のマントを羽織って、一階に来た。

「りりが襲われたらどうする?千影は母さんの身の危険を第一に考えろよ!?」

知らねぇよ。

「俺が行くから、りりは待ってろ」

「夜勤明けでえらくないの?」

「お前で充電させて」

二人は俺に見えないようにキスをした。

子どもの前でやるなよ。

まあ、今日は多めに見てやるけどよ。

「千影、行くぞ」

父さんからマントを渡された。

「これ…」

「お前用のだ。好きな女守るためにお前の能力使ってみろ」

「ああ!」

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