和服探偵
いつも、朝は頑張って早起きをする。早起きをすればそれだけ時間に余裕ができるから。

僕の名前は、林虎太朗(はやしこたろう)。私立円徳高校に通う高校二年生。

頭はまあいい方だと思う。成績は上から数えた方が早い。でも、他の男子みたいに運動はあまり得意ではない。よく周りからは女の子みたいって言われるんだ。今だってーーー。

「できた!」

朝は早起きをして、早く朝ご飯を食べる。そして残った時間で趣味の手編みのぬいぐるみを作るんだ。今作り終えたのは、ペンギンのぬいぐるみ。……喜んでくれるかな?

「おはよ、虎太朗!」

呼び鈴もなしに勝手に玄関のドアが開き、僕の部屋に女の子が入ってくる。僕の幼なじみの鳴海亜梨沙(なるみありさ)ちゃん。一応僕と同じ高校に通ってるんだけどーーー。

「亜梨沙ちゃん、きちんと制服を着ないとダメだよ!今日も袴じゃん!」

亜梨沙ちゃんは、高校に入学してから……いや、そもそも小学生の頃から洋服を着ない。制服も着ない。いつも袴や着物などの和服を着ている。今日着ているのは、この大きな花柄の着物と緑の袴だ。髪も綺麗に結って髪飾りもきちんとつけている。
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