和服探偵
涙を流した佐倉さんに、僕も泣きそうになる。慕っていた人が亡くなるなんて、どんなに悲しいことか……。

「ところで、あなたはフランスに行ったことがあるのですか?」

「えっ?」

突然の質問に、僕と佐倉さんは同時に声を出した。亜梨沙ちゃんは気にすることなく佐倉さんのポケットを指差す。

「このハンカチのブランドは、フランスにしかないものなので……」

亜梨沙ちゃん、ブランドとかよく知ってるな。全然わかんないよ。

「フランスにお嬢様と行った時に買ったものです。とても気に入っています」

「そうですか。確かに、素敵なブランドですもんね。ありがとうございます」

亜梨沙ちゃんと頭を下げ、僕たちは壁際に移動する。互いに怪しい人物を言うことにした。

「佐倉さんは犯人じゃないと思うな。花嫁さんのいいところを言っていたし……。怪しいのはやっぱり花婿さんかな〜……」

「なるほど。じゃあ、花嫁に届けられたウェディングドレスについてはどう思う?」
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