和服探偵
僕らは一斉に佐倉さんを見つめる。佐倉さんはうつむき、何を考えているかはわからない。でも、亜梨沙ちゃんは言葉を続けた。

「あなたには、妹さんがいたそうですね。そしてその妹さんは華さんと同じ学校に通っていた」

「そうですよ……。あの女は、妹をいじめて殺したんですよ!!だから復讐するために執事になった!!あの女の幸せの絶頂を待って殺した!!後悔はしていない。妹がやっと……やっと……アッハハハハハハハハ!!」

狂ったように佐倉さんは笑い続ける。これが、先ほどまで暗い表情だったあの佐倉さんとは思えなかった。僕の足がガタガタと震える。

そのまま佐倉さんは連行され、事件は幕を閉じた。



事件から数日後、僕らは今日も学校がある。とは言っても、今日も亜梨沙ちゃんは袴姿だけど。

「亜梨沙ちゃん、似合ってるけど学校は制服だよ」

「別にいいでしょ?可愛くてお気に入りの袴なんだから!」

そんなことを言いながら、二人で登校する。その時に亜梨沙ちゃんが言った。

「でも、虎太朗が着物を私にプレゼントしてくれるって約束してくれるなら制服着てもいいよ?」

その言葉に、僕は顔や体のあちこちが熱くなる。顔が真っ赤なのは自覚したし、ドキドキが止まらない。

「あのさ、ちゃんと意味わかってるんだよね?」

すると、亜梨沙ちゃんも顔を赤くしながら言った。

「意味がわからなくてこんなこと言うわけないでしょ!」

男性から女性に着物を送る意味、それはーーーあなたの着物を脱がせたい。着物と一緒にかんざしや紅を一緒に贈ると情熱的な求婚とされる。
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