和服探偵
「えへへ。嬉しい!私の部屋、虎太朗がくれたぬいぐるみでいっぱいなんだ。どれも可愛くてお気に入り」

「大事にしてくれてありがとう。でも、亜梨沙ちゃんだったらもっと素敵なフランス人形とか買ってもらえるんじゃないの?」

僕が疑問をぶつけると、亜梨沙ちゃんは僕のおでこに自分のおでこをコツンとぶつける。ち、近い……。顔が赤くなっちゃうよ〜……。

「私、虎太朗の作ってくれたぬいぐるみ以外ほしくないの!和服とぬいぐるみは絶対譲れない!!」

「う、うん。わかったよ。……そろそろ学校に行こっか……」

とても近い距離で、僕は緊張しながら言った。亜梨沙ちゃんは僕にだけやたらスキンシップが多い。でも、それってきっと僕らが幼なじみだからなんだよね?

下駄で歩く亜梨沙ちゃんを見て、僕は痛む胸をそっと押さえた。



学校では、僕は亜梨沙ちゃんと同じクラス。これは小学校の時からずっと変わらない。ちなみに言うと、席もずっと隣。

「だって、虎太朗じゃなきゃヤダ」

亜梨沙ちゃんがそう言ったため、僕と亜梨沙ちゃんだけ席替えはない。ずっと一年中隣だ。まあ、ちっとも嫌じゃないんだけど。
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