和服探偵
和服を着ている以外、亜梨沙ちゃんはごく普通の生徒だ。同性の友達もちゃんといる。そして綺麗な顔立ちだ。当然、狙ってる男子も多いわけでーーー。

「ねえねえ、女子同士で何の話をしてるの〜?」

学校に着き、亜梨沙ちゃんと授業の話をしていたらクラスの中心グループの男子生徒数人が声をかけてきた。

「えっ……。女子同士……」

こんな風に言われることはよくある。でも、好きな子の前でそう言われるとやっぱりショックだな……。

「ねえねえ、鳴海さん!今日も袴姿可愛いね。その格好でデートしちゃう?」

亜梨沙ちゃんの肩に手を置き、男子生徒は声をかける。ズキッと傷ついた。亜梨沙ちゃんの隣に立つのは僕じゃなくても、この人たちは相応しくない。僕が口を開こうとした刹那、僕よりも先に亜梨沙ちゃんが口を開いた。

「私とデート?なら、あなたは和服を着こなせられるかしら?」

試すような目で亜梨沙ちゃんは男子を見つめる。男子は「そ、そんなの楽勝さ!!」と言った。亜梨沙ちゃんは面白そうに口を開く。
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