和服探偵

「じゃあ、着物を着た状態での立ち振る舞いはできるかしら？着物を着ていると洋服のようにはいかないわ。……そうね。ではお茶菓子のいただき方を再現してちょうだい」

亜梨沙ちゃんが和服が好きだから、僕ならきちんとできる。亜梨沙ちゃんに認めてもらおうと幼い頃から練習してきたから。でも、　この男子たちは違うだろう。顔が真っ青だ。

「えっ？えっと……普通に食べたらよくね？」

「いいえ、違うわ。お茶菓子をいただく際は、まず「頂戴します」と言い軽く一口いただきます。この時、必ず逆の手も添えます。お茶をいただく際も、左手で茶碗を持ち、右手に添えていただきます」

「そ、そんなのわかるわけねぇじゃん！！」

顔を真っ赤にする男子に、亜梨沙ちゃんは淡々と言葉を続ける。

「大人になれば、和服を着る機会もあるんじゃないかしら。その時に恥をかくのはあなた方よ。でも、あなたたちが馬鹿にした虎太朗は礼儀作法は完璧にできるわ」