私とあなたのラブシークレット

「親父も、お袋を置いて
どこかに行っちまったしな。
今の三ツ谷家の当主は事実上俺だ。
愛実の直属の執事もメイドだった奴らもすべて解雇しているが
愛実が帰ってきても、きっと執事やメイドを見て
何もしてもらえない恐怖心がよみがえるだろう」

そうだよな・・・

「着いたぞ」

寝ている愛実を起こしたくなくて
京介に抱えて貰って、俺は愛実の荷物をもって量の中へ

「京介」

「あ?」

「さっきの中学の話って」

俺も京介とは中学から一緒だが
愛実を見たことは1度もない

「あぁ。俺たち一緒だったろ?」

「あぁ」

「愛実も同じ中学だった。そしてそれは
少しでも兄弟で一緒にいて欲しかった、お袋の頼みでもあった」

「お袋さんの?」

「あぁ。愛実が執事たちの嫌がらせに気づいたのは
小学生のころ。
俺たちにも、恐怖心の目で見てて、心を閉ざしたんだ」

ベッドで寝ている、愛実を見て
京介にも懐いてる。こいつが?

「心を閉ざしたのは執事のさりげなく言った一言だ」

一言?

「”愛実さんは三ツ谷家のご令嬢じゃない”
たったそれだけの言葉だ。だけど、引き取られたのも
小さく、物心がつく前だった愛実にその言葉はあまりにも残虐だ」

「確かにな」

「それからだ。その執事を筆頭に
幼少期から愛実を見ていたメイドたちも
愛実の世話をしなくなり、愛実のものを勝手に捨てたりするようになったのは」

あ?

「じゃあ、愛実が、今自分の身の回りのことを
自分でしているのは」

「あいつらのせいだろ。
あいつらがやらなければ、自分でやるしかないからな」

マジかよ。
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