私とあなたのラブシークレット
カツカツと歩いてくる翔哉さんと
正反対に下がっていくあたしの体は
逃げようとした瞬間
「逃げんな!」
ガシッと掴まれた腕が熱くて
どうしたらいいのか分からなくて
「どうして、ここに来たの」
「伊蕗さんが教えてくれた」
伊蕗にぃが言うと言うことは
みのりさんは伊蕗にぃに居場所だけ教えてくれたのかもしれない
「婚約破棄を申請したことも知ってる」
「なら、ここになんて来ないでよ。
あたしは、婚約破棄したんだもん」
「俺は認めてないし、認める気もない」
何で
何でよっ
「帰るぞ」
「帰らない。帰るなら1人で帰って」
「おい」
泣いているあたしを見て
掴んでいた腕を離した翔哉さん
なのに、体は動けないのは
「なん、で抱きしめるのっ」
「愛実が泣くからだろ?」
え?
「愛実が泣くのは、俺の前だけでいい」
「伊蕗さんでもなく、京介でもなくて
愛実が泣ける場所は俺の前だけでいい」
「そんなこと、ないでしょう?」
「は・・・?」
ドンと翔哉さんを押して
離れて、これ以上、好きになりたくなくて
「”副会長”がいるでしょう?」
「あ?何言って」
「お似合いだったよ?」
それだけ言うとこれ以上
ここにいたくなくて