爽やか王子の裏側は



「西村さん!」


うわっ!


え、なに?


気がついたら数名の女子が近くにいた


え、なに


なにその剣幕、怖い怖い


「長谷川くんとどう言う関係?」


え?か、関係とは?


「付き合ってんの!?」


つ、つつ、付き合って!?



「いやいやいやいや!違いますよ!」


「じゃあなんで放課後呼び出されてんの!」


え、た、多分ピアノのことだけど


…なんでかしぃーって言われたし…


えっと、なにか…





「委員会です」


「委員会?」


「図書委員の当番が一緒で、多分そのことだと思います…変わってほしいとか言われるんじゃないかな」





これでどうだ


「…委員会…長谷川くん図書委員なの?」


う、うん


「なんだそう言うことかー!心配して損した」


心配とはなんだよ


「ならいいやー」


…去っていった


なんだったんだ


というか…


園川くんを見る


…いつもより影のある表情


「園川くん…?」


「…え、あ、ああ」


「大丈夫?長谷川くんと…なにか…」


するとにっこりと笑った


…っ


「ごめん大丈夫」


………


教室から出ていく背中を見送る


……



今の



今の笑顔は愛想笑いだった



私には向けないはずの愛想笑い






園川くん



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