爽やか王子の裏側は



「フフ、変なこと言ってごめんね。大翔のことは気にしないで。
あんまり人と仲良くしないあいつが珍しく名前を出したのが西村だったからちょっと嬉しかったよ。仲良くしてやって」


長谷川先生はにっと笑っていなくなった


…シンプルにかっこいいな



どういうことだろう


救うってのは



前の関係…


やっぱり2人は何かつながりがあったんだ




『面白いね、西村は』


『いや、面白いね西村華乃は』



園川くんと長谷川くんの似たような言葉が思い浮かぶ



『ごめん大丈夫』


『俺の前でそいつの名前は出さないで』


……


なんか…やだな


別に2人と深い関わりがあるわけじゃない


園川くんはずっと片思いしてたけど本性知って振り回されて

柄にもない無邪気な笑顔にキュンときて

取り繕ってる自分が嫌だって聞いて

それから…私のピアノを好きだって言ってくれる


長谷川くんは…まだ関わって日が浅いどころか
しっかり話したのは昨日が初めて

第一印象こと最悪だったけど

あの芯のあるピアノの音

それから、長谷川先生に私のことを話してくれたこと



悪い人じゃないよ

2人とも



お節介は得意技

ピアノの蓋を閉めて音楽室を出た



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