爽やか王子の裏側は
うお、
校門に向かって歩いているとキャーという女の子の声が聞こえた
…
あ
園川くんだ
今日は自主練してたんだ
長谷川先生の車あったからかな
校舎のフェンスに数人の女子の群れ
園川くんを見てキャハキャハ言ってる
女の子の頭の間からちらりと見えた
「…っ」
思わず息を呑んだ
真っ直ぐ伸びたレーンをすごいスピードで駆け抜ける
同時にスタートした他の部員をいとも簡単に抜く
見慣れないジャージ姿
爽やかにゴールしてシャツで口元の汗を拭う
その動作一つ一つが魅力的で目が離れない
「めっちゃかっこいい!」
「園川くん神!」
「ほんと目の保養〜」
…
わかってる
あの人は雲の上の人
私はたまたま園川くんの本性を知ってしまって、監視されてるだけ
自惚れたらいけない
園川くんと話せるのは
たまに見せてくれる無邪気な笑顔は
偶然なんだから。