爽やか王子の裏側は


うお、


校門に向かって歩いているとキャーという女の子の声が聞こえた








園川くんだ


今日は自主練してたんだ


長谷川先生の車あったからかな



校舎のフェンスに数人の女子の群れ

園川くんを見てキャハキャハ言ってる

女の子の頭の間からちらりと見えた


「…っ」


思わず息を呑んだ


真っ直ぐ伸びたレーンをすごいスピードで駆け抜ける

同時にスタートした他の部員をいとも簡単に抜く


見慣れないジャージ姿

爽やかにゴールしてシャツで口元の汗を拭う


その動作一つ一つが魅力的で目が離れない


「めっちゃかっこいい!」

「園川くん神!」

「ほんと目の保養〜」




わかってる

あの人は雲の上の人


私はたまたま園川くんの本性を知ってしまって、監視されてるだけ


自惚れたらいけない



園川くんと話せるのは


たまに見せてくれる無邪気な笑顔は


偶然なんだから。

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