爽やか王子の裏側は
思わずフェンスに近寄る
女の子があんまりいないところだから、園川くんをベストポジションでは見れない
ちょっと遠い
それでも
…目を奪う
やっぱり
私には関係ないかもしれないけど
園川くんの悩みは助けてあげたい
何の分際でって感じだけど
園川くんの本性を知る数少ない人材として、
園川くんの癒しであるピアノ奏者として、
それから…
「ナイスラン!真一!」
「おぅ!」
汗が夕日で絵みたいにキラキラしてる
女の子の悲鳴に応えるように軽く頭を下げて
それにまた反応する女の子たち
…
!!
前を向き直った園川くんの顔がはっきり見えた
その目は…
真っ直ぐ私を見ていた…
『に・し・む・ら』
!!
確かに見た
その口の動きは私の名前を呼んだ
フッと笑った
ドキ
確実に効果音となって私の耳に届く
胸に届く
変な苦しさ
今まで園川くんに抱いてきた憧れなんかよりも
もっと…大きなもの
園川くんの本性を知る数少ない人材として、
園川くんの癒しであるピアノ奏者として、
それから
園川くんに片想いする1人の女の子として
彼の悩みを助けたい
私が園川くんを好きになったのは見た目なんかじゃない
本当の優しさを知っているから
特別なカッコ良さを知っているから
それは…園川くんの本性を知った今でも
彼の本当は変わってなかった
だから私の思いも本性を知る前と変わらない
好き