爽やか王子の裏側は
放課後
音楽室にきたけれど当然長谷川くんの姿はない
…もう来ないのかな
『あんまり人と仲良くしないあいつが珍しく名前を出したのが西村だったからちょっと嬉しかったよ。仲良くしてやって』
…
カタ…
!!
今、誰か
扉の外に
音がして扉の外の気配に気づいた
あ、もしかして
「園川くん?」
応えるように扉が開く
「ども」
やっぱり
そういえば今日長谷川先生の車なかったな
「今日は自主練しなくていいんですか?」
「んーいいよ。昨日見にきてただろ?」
う
は、はい
「珍しい客がいると思ったよ」
「よく見つけられましたね」
「西村だからな」
ドキ
こういうことを簡単に言ってくる
きっと深い意味はないだろうけど
「今日も長谷川先生の車なかったからいるかと思ったけど…いたわw」
あ、それ
「私長谷川先生から許可もらいましたよ。毎日弾いていいって」
「え、まじ!?」
目が大きくなる
「でも園川くん毎日聞きにきて自主練さぼっちゃダメですよ」
「う…いいじゃん別に。それにしてもよく許可もらえたね。あの先生ちょっと怖くない?」
んー
「許可もらってくれたの私じゃないので」
…
「え、誰?」
……
名前を出していいんだろうか
いや、出さないと進まないか
「長谷川大翔くんです。長谷川先生の弟さん」