爽やか王子の裏側は



ピク


園川くんの手が動いた気がした


「長谷川…」


「委員会が同じでたまたま私のピアノを聞いた長谷川くんが先生に許可を取ってくれたんです」





「そう…」





「よかったね」



ズキ



まただ…作ったような笑い


愛想笑いなんかよりももっと適当な


偽物の笑み





すごく気持ちが悪い


すごく…いやだ





「それ…やめてもらえませんか」


思わず溢れた本音


「…え?」


「その笑い方…私に見せるのやめてもらえませんか」


園川くんの動きが止まった


「愛想笑い。私はもう園川くんのそんな笑い方見せられたくないです。
本当の園川くんを知ってるから
口が悪くて、いつもストレス抱えてて、無理して笑ってる園川くんを知ってるから
だから…今そんな笑い方見せられると、とても気持ちが悪い」


「っ」


「園川くんが愛想笑いする時ってだいたい嘘ついてる時でしょ?」





こんなこと言うつもりなかったけど


本当の園川くんの笑い方を知った今


偽物の笑い方を見て、前みたいにかっこいいで流せるほど、私は弱くないみたい


園川くんがどんなつもりで


何を考えて


その笑い方をしたかなんて知らないけど


できることなら…


その笑い方の理由を聞かせてほしい

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