爽やか王子の裏側は
園川side



大翔とは同じ中学で、同じ陸上部で


唯一無二の親友だった


中学からの知り合いだったけど、びっくりするくらい仲良くなって


気がついたら隣にはいつも大翔がいた



陸上では同じ短距離種目のいいライバルだった


俺が勝つこともあれば、大翔が勝つこともある


大会ではリレーの時、一番手だった俺があいつにバトンを繋いだんだ


楽しかった


純粋に、大翔と競い合いながらお互いを高める時間が好きだった


練習がキツいって思うこともあったけど、大翔がいたからちゃんと出来たんだ





大翔がいたから…



ある日、練習でハードル走の測定をした時だったかな


その日はいつもより大翔の調子が悪かった


トレーニングもテンポが悪かったし、何より表情がなかった


そんな中、ハードル走が始まって最初は普通に飛んでたんだけど


一番最後のハードルを飛び越える時


大翔の歩幅が狂った


「大翔!!」


俺が声をかけた時はもう後ろの足がハードルに引っかかってた





転ぶ事はよくある


でも問題はそこじゃなかった


転んだら手をつけばいい


手をついて体を守れば多少の怪我はしない


だけど



あいつは手をつかなかった



むしろ手を守るようにして倒れた



右半身を強く強打した




< 119 / 292 >

この作品をシェア

pagetop