爽やか王子の裏側は



結局放課後になってしまった


どうしよう…ブランケット取り戻せてない…


多分、園川くんは昨日のピアノを聴いていたとしても、それが私だとは気付いてないはず


あーもー名前書いておけばよかった


「日菜ちゃんごめん!今日も先帰ってくれる?ちょっとやらなきゃいけないことがあって」


「ありゃ、そうなのー手伝おうか?」


「ううん!大丈夫!ありがとね!」


「そっかぁ頑張ってねー」


ぽわんとした日菜ちゃんはふにゃりと笑って帰っていった


…可愛いよなあの子。


誰かいないのかあの不思議ちゃんをもらってくれる男子は…


などと自分そっちのけで色恋沙汰に耽っていると


「園川くんっ」


!!


あんの人はまだ1人になってないのか!!


声がした方を見ると2人の女の子の間でニコニコ笑う園川くんの姿が…

その左手にはおそらくブランケットが入っているだろう紙袋


なんとかブランケットを取り戻さねば…


物凄い距離をとりながら3人の後を追う



「じゃーねっ!」

「また明日ねぇ!」

「うん、また明日」


これはっ!!


チラッと覗き見ると去っていく女の子2人に手を振る園川くんの姿


こ、これはっ!チャンス!!



女の子を見るのをやめ、スッと振り向いた園川くん


いまだああああっ!

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