爽やか王子の裏側は



え、なんでお前が


てか、こんなにピアノ弾けたの


そういやピアノ弾くために指がどーのって言ってたけど


なんか違和感を感じたのは西村じゃなかったからか


「何?西村華乃のピアノでも聞きに来た?」


「あ、うん。」


あ、めっちゃ素直に返事したな俺


「残念ながらさっき帰ったよ。今日は弟が遅くなるから妹の迎えに行くんだってさ」


え、妹?

妹もいんの?

弟だけだと思ってた


…てか、大翔は知ってたんだ



「さっきまでいたの?」


「うん、一曲弾いて帰った」





ちぇ


聞けなかったや


大翔のピアノ聞いてもなぁ(酷い)



「俺もそろそろ帰るけどさ、お前に言っておこうと思って」


ん?


「なんだよ」


大翔は席を立った


そしておもむろに俺を見た


やけに真剣な表情で




「俺、西村華乃が好きだわ」





「は?」



「恋愛感情で、昼休み自覚した。恋とか厄介だと思ったんだけどね」






「真一には関係ないかもしれないけど。一応言っておこうと思って」







「じゃーな。また明日」


通り過ぎざまにポンと肩に手を置いた










「待て」







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