爽やか王子の裏側は



ざわっ


園川くん一角に人だかりができた時、別のざわめきが響いた


な、なんじゃ?


みんなの視線は教室前方のドア


ガラリと開いたそのドアに立っているのは


え、


あ…誰?


爽やかにカットされた黒髪と透き通るような白い肌

抜群のスタイルと細身のすらっとした体

女の子みたいなぱっちりとした可愛らしい目をした男の子



一言で言うとバカイケメン



えっと…誰?



ざわめきがざわめきを通り越してしんとする


黒髪くんはくるりと教室を見渡し、ある場所でその目を止めた



「どうかな…日菜さん」


ひ、日菜さん?


日菜ちゃん!?



「はるみくん?」


はるみくん…


横山くん!?



「言われた通り髪の毛切ってきたよ」



瞬間魔法が解けたみたいにざわめきが広がる教室



「横山!?!?」

「え、え嘘でしょ!?」

「何?どういうこと!?」

「い、イメチェン?カッコ良すぎない?」



クラスメイトの意識が横山くんに移動した


私はその目を盗んでじょうろに水を汲みにいくように見せかけ、園川くんの人だかりへと入っていく


「園川くん、大丈夫?」


なるべく小声でそう言って通り過ぎざまに園川くんを見る


「大丈夫じゃない」


王子スマイルを固定したまま口だけが動いた


今日は大変な1日になりそうですね

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