爽やか王子の裏側は
人気がなくなっていく少し肌寒い廊下
昼休み、長谷川くんとご飯を食べた今朝の階段に移動中
迷ったんだけどね?
気になるものは仕方がないさ
どうやって聞くかも決めてないくせに長谷川くんのいる階段に向かう
聞きたくないなんて言いながら知りたくてしょうがない謎の衝動
長谷川くんいるかな…
「ーーっ」
!
いる!
階段付近
長谷川くんらしき声が聞こえた
でももう1人いる?
それか1人で喋ってんのかな
「長谷川くん?」
階段の影から顔を出す
「あ!西村華乃!」
壁にもたれかかっていた長谷川くんの顔がパッと明るくなった
ドキッとな
「え、西村?」
え?
この声は
「園川くん?」
長谷川くんと喋っていたのは園川くんだった
階段で足をバーっと広げて間にお弁当を置いている
「来てくれたんだね」
長谷川くんが階段を何段が飛ばして私の目の前に着地した
「うん。いるかなーって思って…ごめんね?」
勝手に来てしまったけど
「全然、むしろ待ってた」
私の顔を覗き込んでフッと笑った
お、王子っ
「あー昨日西村とここでご飯食べたんだっけ」
「うん」
園川くんがいるなんて珍しいな
あ、でも確かにいつも人に囲まれて食べてる園川くん教室にいなかったな
「今日はクラスの奴らのウザさが尋常がなかったから逃げてきた」
わかりやすく顔を歪ませ舌打ちをする
とほほ、なるほど
まあ逃げられるところができてよかったね
「確かに今日はすごかったね」
私が困ったように笑って見せた
すると上半身をぐっと前にだして私を見た園川くん
「…西村はさ」
ん?
「…ハチマキ、誰かと交換したりするの?」
ハチマキ?
私が?
そんなわけないじゃないか
陰キャラ舐めるなよ
「まったくそのような予定はない」
キッパリと答えてやった