爽やか王子の裏側は



本当は園川くんのハチマキ事情を聞きにここにきたようなものなんですけど


まさか私に振られるとは


「プハッ!そうか笑そうだよな笑」


園川くんでなく、目の前にいた長谷川くんが吹き出した





なーにーをー!!


笑っていやがるこいつめ


「なんですかそれ!失礼ですよ!」


「ごめんごめん笑、あんまりにもはっきり言ったからおかしくて」


ヒーっといいながら笑う長谷川くんを睨みつける


「失礼しちゃうわ」


ベーっとベロを出してやる


まったくこれだからオトコは


「ごめんて西村華乃〜」


ふんすこ


「ね、俺が交換してやるよ」


…へ?


長谷川くんが笑いすぎて出た涙を吹きながら私をみた


「相手いないんならいいだろ?俺お前と交換したい」


…な、な、何言って…


「ダメ?」


お、お近いっ


ぐんと距離を詰められて切れ長の綺麗な目が私をとらえる


「ひーろーとー」

「ぐえ」


ぐんと長谷川くんの顔が離れる


襟元を園川くんに引っ張られていた


「なんだよ真一」


「…からかうなって」


「はぁ?別にからかってなんか…」





「ねー本当にこっち?寒いんだけど」





知らない女の子の声


「見たんだって!園川くんが向かってるの」





園川くんの目が開く


「おいお前の追手じゃん」


長谷川くんが襟を整えながら言った


「はぁ?ふざけんなよ、なんでこんなとこまで来んだよ気持ち悪りぃ」


園川くん…(哀れみの目)


「人気者は辛いな真一、追っ払ってよ笑」


からかうように笑った長谷川くんの頭を軽く小突いて立ち上がった


「はああああぁだるすぎる…」



ぶつぶつ言いながら階段を下っていく園川くん



角を曲がる瞬間キラキラ笑顔になったのを私はしっかり見ました

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