爽やか王子の裏側は
あ、ブランケット
ああああっだから忘れてたぁ
ったく、私ぃぃ
ブルーになりながら教室に戻る
バチっと音がなりそうなほどしっかりと園川くんと目が合う
にこり、キラーん
と、効果音の似合う笑顔を見せる
今までの私だったらきゃー♡ってなってただろうけど
今は冷や汗がこれでもかというくらい流れ出てくるだけだ
はぁ…なぜトキメキのドキドキだったはずが
緊張のバクバクになってしまったのか、、
ため息をついて席につく
…
寒いな
ブランケット欲しい泣
「園川くん!ここ教えてぇ」
「いいよーこれはね?ーー」
「私もぉ!」
「ちょ、俺にも俺にも!」
「落ち着いて、ちゃんと教えるから」
ああっ眩しい
なんだあの青春の1ページは
あの爽やか笑顔の裏側を知らない人たちに囲まれている園川くん
でも本当に…
爽やかだし、素敵な笑顔だけど…
変なの
なんだろう、あの笑顔
変な違和感がある
園川くんの爽やかな笑顔も優しい言葉も
そのどれもが作られた感が半端ない
裏を見てしまったからかもしれないけど
まあでも、自分をよく見せるために人間無理するものだ
園川くんの場合はそれが桁外れなだけ
でも
誰と話していても、なんの話をしていても
彼の表情はあの笑顔で統一されているのはなんだか気味が悪い
それは私が彼をよく見てきたから分かること
あの表情をつけて毎日生活するのは確かにめんどくさい