爽やか王子の裏側は



園川くんが頑張れって言ってくれたんだ


一つ前の走者達がいなくなる


絶対勝ってやる


学校行事ガチ勢の西村華乃、まいる!



「位置について」


バッ


「よーい!どん!」


うおりゃぁぁぁぁ!


3人が最初は同じペースで走り出す


ハードルが見えた


スピードをつけたまま飛び越える


次に縄跳び


「えー二重飛びとかできないぃぃ」


嘆く女の子達をよそめに縄をヒュンヒュンと回す


「す、すげぇ…誰あの子」

「はっや」


4、5、6


「「なな!はち!」」



私の心のカウントに合わせるように赤団のテントから掛け声が聞こえる

なんかちょっと新鮮


「「きゅう!じゅう!」」


おっしゃ!

もうここら辺までくると独走状態だった


「がんばれー!赤団!」

「赤団の子ー!ファイトー!」

「華乃ちゃーん!!」


なんかいろんな声援に紛れて日菜ちゃんの声が聞こえた気がした

パルクールポイントもなんかそんなすごいものではなかったのでスイスイと通り過ぎていく


「かっこいい!」

「あの子誰?」

「西村さんだよ、図書委員の子」


あんまり注目されるのは得意じゃないけど


よっと

箱を踏み台にして高めの棒を飛び越えた

くぐるのは汚れるから好きじゃないんだよね


ヒューヒュー!


なんの盛り上がりかわからないけど私が障害物を乗り越えるたびに歓声が上がる


うわどうしよ
なんか気持ちよくなってきた
癖になりそうだぜ


サービス精神で高い台からくるっと前転して飛び降りる


「スッゲェぇぇ!!」

「にしむらぁーー!」


あ、宇野くんの声だ

よく響くなぁ


< 211 / 292 >

この作品をシェア

pagetop