爽やか王子の裏側は



秋の微妙な肌寒さに耐えぬき、やっとの事で放課後になった


日菜ちゃんには果てしなく申し訳なく先に帰ってもらい


昨日のように園川くんを探す



「真一」



きたぁ!


声のする方を見ると昨日とは違い、男の子と女の子が何人か群がっていた


「カラオケ行こうぜ」

「いーね!私、園川くんの歌声聞きたぁい」


「いやー恥ずかしいからやめとくよ。それに先生に頼まれたことあるし」


絶対嘘だ


「えー残念」

「じゃ、また今度だな」


「うん。ごめんね?また今度にするよ」


絶対今度なんてないだろ


「じゃあね!また明日」

「じゃーな!」


去っていく仲間たちを見送って振り返ると…



「はぁぁぁぁぁ」



呆れたように目を泳がせて髪をくしゃっとする



なにこの人、毎日これやってんの?


よく今まで人にバレなかったね


いや、まてよ


もしかしたら私のような犠牲者が他にもいるのかもしれない…


ああ、なきにしもあらず

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