爽やか王子の裏側は



「園川くん」





「ごめん、なんだった?」


「あの…は、ハチマキ」


ハチマキ?



「ハチマキ交換してください!」





え?


「あ、えっと、ごめん間違えた。
ハチマキ交換相手がいるっていうのはわかってるから…えっと…ん?私どうすればいいんだ?」


自分の発言に首を傾げる西村


…えと今


西村が


ハチマキ交換してくださいって言ったんだよな


「ハチマキ…俺の、欲しいの?」


「…は、い」


めちゃめちゃ小さい声でそう言った


嘘だろ


だって…そんなの




ねぇ西村


俺って結構馬鹿だからさ…西村より繊細に考えられないからさ


そんな風に唇を噛んで体操服をギュッと握って

見上げられたりなんかしたら


理性ってものがなくなる



「西村…唇、噛まないで」


「え?」



目を丸くして唇を噛むのをやめた西村に極限まで近づく

今までこんなに近づいたことがあっただろうか


西村の優しい匂いがする



少し屈んで顔を寄せる


そして…さっきまで西村が噛んでいた唇にそっと自分の唇を合わせる



無意識…とかじゃない



ごめん…めっちゃわざと



目を丸くしている西村


体がかちこちになっている



でもこればっかりはお前が煽ったのが悪い


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