爽やか王子の裏側は
下駄箱で西村を見たとき、一瞬何も考えられなくなって
それで、次の一瞬には思考でいっぱいだった
なんで言えばいい
昨日のはなんだったんだろう
キスしてごめん?
違う
お前が好き
言わなきゃ
でも、下手に近づけなかった
まるで、少しさわれば崩れてしまいそうなものを前にしてるみたいだった
俺は西村相手だと今までなんとかうまく切り抜けてきた愛想笑いも使えないし、
少しのことですぐに舞い上がったり落ち込んだりする
それが恋だって実感するたびにまた西村を好きになる
だからついてこないでと叫んだ声を思い出すたびに胸が痛くなる
本当に厄介だ
恋なんてしない方が絶対に楽
だけど、相手が西村なら…この気持ちは間違いじゃないって思える
「はぁ…会いたい」