爽やか王子の裏側は



ちょっと早く行けば西村に会えるかな


翌日、相変わらず頭の中はあいつでいっぱい


いつもより早く家を出ようと珍しく慌てていた



「真一」


兄貴?


「この前のあの子に着てもらいたい服があるからまた連れてこいよ」





「わかった」


ニヤッと笑って俺の背中を叩いた


「イッテェ!」


「がんばれよープリンスー」


チッ


クソ兄貴



しっかり靴が履けてない状態で玄関を出た



早く会いたい



そう遠くない道を早歩きで進み下駄箱に雑に靴を押し込む


「園川くん」




聞き慣れない声に呼ばれ、動きを止めた


振り向くと茶色毛のふわふわしたやつ


西村の…友達の片瀬日菜


「な、何?」


反射的に笑顔を作る




「華乃ちゃんを助けて」


は?


…西村?



助ける?



「え、どういうこと?」


何か危ない状況なのか!?


「華乃ちゃんのこと好きなんでしょ?」





「な、何言って」


「見ればわかる」


あ、はい。


「もしかしたら…華乃ちゃんは言うつもりじゃないかもしれないし、自分から言おうって頑張ってるかもしれないけど…私が耐えられないから言っちゃうね」


は?


なんの話?



「華乃ちゃんが転校しちゃう」







は?



転校…て



転校?




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