爽やか王子の裏側は
ちょっと早く行けば西村に会えるかな
翌日、相変わらず頭の中はあいつでいっぱい
いつもより早く家を出ようと珍しく慌てていた
「真一」
兄貴?
「この前のあの子に着てもらいたい服があるからまた連れてこいよ」
…
「わかった」
ニヤッと笑って俺の背中を叩いた
「イッテェ!」
「がんばれよープリンスー」
チッ
クソ兄貴
しっかり靴が履けてない状態で玄関を出た
早く会いたい
そう遠くない道を早歩きで進み下駄箱に雑に靴を押し込む
「園川くん」
え
聞き慣れない声に呼ばれ、動きを止めた
振り向くと茶色毛のふわふわしたやつ
西村の…友達の片瀬日菜
「な、何?」
反射的に笑顔を作る
「華乃ちゃんを助けて」
は?
…西村?
助ける?
「え、どういうこと?」
何か危ない状況なのか!?
「華乃ちゃんのこと好きなんでしょ?」
え
「な、何言って」
「見ればわかる」
あ、はい。
「もしかしたら…華乃ちゃんは言うつもりじゃないかもしれないし、自分から言おうって頑張ってるかもしれないけど…私が耐えられないから言っちゃうね」
は?
なんの話?
「華乃ちゃんが転校しちゃう」
…
は?
転校…て
転校?