爽やか王子の裏側は



翌日


ブランケットを持って登校


「あー華乃ちゃんおはよぉ」


「日菜ちゃんおはよう!」


「あれー?んー?その布団、昨日持ってなかったよねぇ」


「忘れちゃってさ」


「そっかぁー」



日菜ちゃんて会話のスピードが遅いんだよな



「あ、シクラメン」


視界の恥に映った赤い花


水やらなきゃ


じょうろを持って廊下の水道に向かう



いやー最近は水が冷たいな


じょうろに水を入れる


「おい」


ん?


え、


「そ、園川くん!?」


「うるせぇ声絞れ」


え、えぇ〜


「なんですか」


小声でボソボソと言う


「お前毎日水やってるよな」


「シクラメンですか」


「さすが陰キャラ」



なっ!


このっ!



全国の花に水やってる高校生に謝れぇぇぇ!



手を洗いながら隣に立つ園川くん



「ははっ冗談だよ」


!!


歯を見せて笑う園川くんにドキッと文字が背景に出そうな私


こんな風に笑えたんだこの人…


そのまま手を拭きながら優しい笑顔に切り替えて去っていく



「はぁ」



軽くため息をつき、じょうろを持って教室に戻る



さっきと全く違う笑顔を振りまく園川くんをチラリと見てシクラメンに向かった


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