爽やか王子の裏側は
結局ショートケーキを見飽きた女子たちが園川くんのところに戻っていってザマァって感じだった
私はなんかめっちゃ普通のカツ丼ができたのでパックに入れて持って帰ることにした
今日のご飯にしよう!
よしこれで一人分ご飯代が浮くぜ
上機嫌でお皿などを片付けていると女の子の甘ったるい声が聞こえる
「園川くんーそのカップケーキどうするのぉ?」
「んーどうしよっかね」
「誰かにあげるのぉ?」
「んーどうしよー」
園川くんの顔は張り付いた笑顔のままピクリとも動かない
「多分部活の連中にあげるよ」
「えーいいなぁ」
なんだその上目遣いは
忖度か?忖度なのか?女子めぇ
「西村さん。片瀬さん」
「え?」
「んー?」
振り向くと照れたような顔で横山くんが立っていた
「これよかったら…たくさん作ったから」
!!
「うわぁ!!すごい!」
「美味しそうー!」
横山くんの作った綺麗なショートケーキが二切れ
「もらっていいの?」
「いいのー?」
「ぜひ!」
「ありがとう!!」
うわぁ!やった!美味しそう!
「ありがとうー!横山くん」
!!
え、いま、
「日菜ちゃん」
「んー?」
いま横山くんって言ったよね
日菜ちゃんは私以外のクラスメイトの名前を覚えていないはずなのに…
「日菜ちゃん、横山くんの名前覚えたの?」
なんで本人前にして言うのはちょっと失礼かもだけど
「んー?横山くんは知ってたよぉ」
え、そうなの!?
「だって優しいオーラ出てるから」
「お、オーラ」
横山くんが思わず目を丸くしてそう言った
日菜ちゃんは横山くんと距離をつめ、あのぽわわんとした笑顔を向けた
珍しい…
日菜ちゃんが私以外のクラスメイトと話してるところを見たことがないから…
なんだろうなんか嬉しいな
親みたいな気分だなぁ