爽やか王子の裏側は
ほっこりした気分で自分のカツ丼のつまったタッパーと横山くんのショートケーキが入った箱をしまった
見えないけど女子の群れにいるであろう園川君に無様だと視線を送りながら退場
日菜ちゃんがついてこないなと思って振り向くと何やら横山くんと話し込んでいるようだった
ぬふふ
よいなぁ
なんて生温い考えをしていたのも束の間
一人廊下を歩いていた私の腕が思わぬ方向に引っ張られた
ぐい!!
!!
視界は一気に見たことない教室
「おい…」
…!?!?
え、
「園川くん!?」
なんで!?
さっきまであっちにいたよね!?
瞬間移動???
いつの間に!?
「うるせぇ声がデケェんだよ」
ひぃぃぃぃ
「な、なんですか!」
なるべく小さい声で聞く
「ちょっと女子がいなくなるまでかくまえ」
はぁ!?
「園川くーん?」
「しんいちー?」
あ
「ほらさっさとかくまえ!」
はあ!?
私を教室の外に押し出し自分は奥の方に隠れてしまった
な、なにやってくれてんじゃ
あのくそ野郎泣
「あれ、西村さんじゃん」
「ほんとだぁー何?園川くんでも探してんの?」
「え、いや、別に…」
くっそ
いっそのことこの中にいるから、あと70人くらいの女引き連れて入って行ってやってくれって言えればいいのに……
「園川くん見てない?」
めっちゃ見ました
見過ぎじゃね?ってくらい見ました
「見てません…けど」
「ふーん、そ。じゃ見つけたら教えてね」
私はあんたらのための園川捜索隊じゃないんじゃバカたれぇ