爽やか王子の裏側は




はぁ…


しばらくして教室に戻り、奥に隠れているであろう園川くんに声をかける


「もういなくなりましたけども」


「はぁ助かったぜ。あんの豚どもまじ群がることしか知らねぇのな…だりぃ」





なんか数日前の園川くんのイメージからは想像つかないよな


「なんか…もう隠さなくなりましたね」


思わずそう溢すといつもの王子スマイルが完全に抜けきった鋭い目で私を見据えた


「お前の前だけだよ」


……


これは喜んでいいのだろうか


ものすごく微妙な気分でいる私と距離を詰める園川くん


「やる」


ふとそんな言葉を発した


やる…


やる


え、殺る!?!?


「これ…」


絶望していた私の目の前に出されたのは…


「カップケーキ…?」


これって


さっきの時間作ってたやつ…だよね


「え、な、なんで?」


「…おれ甘いの嫌いなんだよ」


いや、そこじゃなくって


「部活の人にあげるんじゃないんですか?」


「部活?…ああ、いいよ別に。全員分ないし」


え、ぇぇ〜


じゃ欲しがってた女の子たちにあげればいいのに


まあそれは嫌がるだろうけど…



「い、いいんですか?」



「なんだよ、いらねぇならいいけど」



「ほ、欲しいです!」



「フフッ…必死になりすぎ」


!!


私にカップケーキを差し出している園川くんの顔を見ると



今まで一度も見たことないような…



ちょっと呆れた感じの…柔らかい笑顔だった



この人…こんな風に笑えたんだ


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