爽やか王子の裏側は



次の日も結局ブランケットを持ち歩く羽目になった


昨日と同じく、めんどくさい雑魚に囲まれながら俺の表情筋は悲鳴を上げる


あああああっ


うっぜぇぇぇぇぇぇ!


他にすることないのかよ豚家畜どもが


表情筋で奮闘する俺の目の前を通り過ぎる一つの影、


あ、西村華乃


小さなじょうろを持ってシクラメンに直行する



…誰のためにやってんだろ、あんなクソみたいなこと



すると、あいつの友達か知らないけど確か…片瀬?かな?がやってきて西村が思い立ったように口を開いた



…待てよこれ


不味い気がする



「ちょっと失礼」


群がってた虫どもをいったん退けて、西村のところへ向かう


「日菜ちゃん、昨日ねその…」


案の定かよ


「おはよう。西村さん、片瀬さん」


俺の声を聞いてわかりやすくびびる西村


はあ油断なんねぇな


女子ってなんでこうも口が軽いんだよ


無理やりな理由をこじつけて西村を外に呼び出す



「あのさぁ俺が昨日言ったこと覚えてる?」


人気の少ない廊下で決まり悪そうに視線を外す西村


「お、覚えてます…」


「ベラベラ他の奴らに話すんじゃねぇよ?
次しゃべろうとしたらただじゃおかねぇからな」


なんかもう西村の前で猫かぶるのはいいや


ここまで脅してからそう思った俺


1人くらい俺の本性知ってる奴いても、まあ西村なら害はないだろ


そそくさとさっていく背中を見てため息をつく


はぁ


戻るか、地獄に




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