爽やか王子の裏側は
園川くんはそのまま何処かへ消えてしまう
私だけそのお店に取り残されるハメに。
「ごめんね。強引な弟で」
「あ、いえ。」
「にしても珍しいな。あいつがこんなとこに誰か連れてくるなんて今まで一度もなかったよ」
え、えぇ
それは…園川くんの特別なのか…
それとも初めてここまでダサい女に会ったということか…
おそらく後者だ
「そ、それより!服は結構です!私そんなお金持ってないし…」
「いいのいいの!気にしないで!とりあえず俺に任せてみてよ!悪いようにはしないからさ」
何がいいのおおおおおおおお!?
そのまま私は陽一さんの着せ替え人形になりました
計何着…着ただろうか
それほど時間は経ってなかったけど一つの服に落ち着いた
それは今までに一度と腕を通したことがないようなおしゃれな服
ダボっとした大きめチェックのミニワンピース
腰元の黒いベルトが大人っぽい
足がほとんど出ててちょっと違和感
女の店員さんが髪型も簡単にセットしてくれて
素晴らしく別人。
「へぇ…化けるね。やっぱ元がいいからか」
「めっちゃかわいい〜!」
「脚ほっそー!」
すご…
まるで別人だ
鏡に映る自分に恥ずかしながら釘付け
「いいじゃん!似合ってるよ!」
にっこり笑う陽一さんはやっぱりかっこいい
「あ、ありがとうございます…」
「お、ナイスタイミング」
へ?
お兄さんの視線の先を見るとちょうど園川くんがこっちに向かって歩いて来てた